事例3 合意の上のセクハラなんてない!

公開日: : 最終更新日:2015/02/16 円満解決事例

最近こんなケースが増えています。

社員からセクハラの訴えがあった。

→調査委員会を立ち上げた。

→加害社員は「行為は認めるけど、合意だった!無実だ!」と言う。

→委員会は調査結果から、セクハラだと認定した。

→加害者を懲戒免職にした。

→後日、懲戒免職になった元社員から、処分無効の裁判を起こされた。

多くの社長様から、「え~~~!ちゃんと懲戒解雇にしたから、いいんじゃないの?」と聞かれますが、違うのです!

加害者を懲戒解雇しても、被害者の心は晴れません!ってことなのです。

私が関わらせていただいた事案で、その理由を明確にできた事例が何例もあります。
以下は、プライバシーの関係から、私がそれらの事例を加工創作したものですが、実は、多くの事例が、よく似ているのです。

Yさんは、大学に入学してから体調を崩し、しばらく休んでいました。心配した担任教員(既婚男性)が、Yさんを何度もアパートに見舞っているうちに、いきなり押し倒しYさんと性的関係を持ってしまいました。それは、大学卒業してからも続きました。Yさんは誰にも言えず、苦悩しました。私は「どうして断れなかったの?」と聞くと、「最初は恩もあるし、未成年だったのでびっくりして断れなかった。一度勇気を出して断ったら、『僕は君を卒業させないこともできるんだぞ』と言われた。就職先も世話してくれたため、卒業してからも性的関係の継続を強いられた。自殺も考えたが、自分の心を守るために、この先生のことが好きなのだと思い込もうとした。」と言いました。

まさに、ストックホルムシンドローム

彼女は、学生時代に、一度勇気を出して大学の学生相談室に駆け込みました。しかし、ハラスメント事案だとは取り上げてもらえず、うやむやになってしまいました。卒業後は、一度弁護士に相談しました。しかし、「不倫関係のもつれじゃないの?」と言われ再び傷つきました。それ以来ずっと体を許した自分が悪いのだと、自分を責めていくことになったのです。それで、卒業後、ずいぶん長い年月が経ってから私と出会いました。

私は彼女に出会ったときにこう言いました。

あなたは悪くない。

NOと言えなくて当然だ。

立場上、教員はそういうことはしてはいけないのだ。

そう言うと、彼女は、「そんなことを言ってもらえたのは初めてだ」と泣きました。

しかし、それで気が晴れるわけではありません。やり場のない怒りが続いています。

「ごめんと一言謝ってもらえば、前を向いて歩いていけるのに。私のこれまでの人生を返してほしい。」と、彼女は繰り返し、繰り返し言います。

ほとんどの場合において、セクハラ事件は、被害者の言い分と加害者の言い分は正反対です。

レイプだ VS 合意だ

断れなかった VS 断らなかった

ですから、会社において社員からの被害の訴えがあった時、加害者と言われた社員に事情聴取することになりますが、調査を担当した人は、加害者の「合意だった」の言葉に流されてはいけません!

ここが、解決のポイントです。

行為がハラスメントかどうかということについて判断するときに

「合意か合意じゃないか」に振り回されてはいけません!

「権力の上位者にあるものが、NOと言えない状況を作ったこと」がハラスメントなのです。

ある被害者の方のこんな言葉がとても印象に残っています。

「なぜ、断らなかったか(Do not)と聞かないでほしい。なぜ断れなかったのか(Can not)と聞いてほしい」と。

権力の下にいる人は、様々な「断れない理由」があるのです。それが、評価だったり、職を失いたくない気持ちだったり、レギュラー選手になりたい気持ちだったり、その人が怖かったり、尊敬していたり・・・・。そんな負い目があると、人ははっきりと「イヤ」とは言えないものです。

大学の教員がNoと言えない立場の学生を、異性としての対象にしたこと自体が「罪」なので、そのことに対して、ちゃんと「心からの謝罪」しないと、彼女の心の中で事件が終らないのです。

このように、加害者処分だけでは、裁判リスクが残ります。

被害者救済のために、まず、加害者に非を認めさせることが肝要ですね。

そのために、加害者カウンセリングや、加害者への研修などの方法で、納得させる必要があります。

☆ポイント☆

(ア)加害者処分では、事件は終わらない。

(イ)被害者の心の救済が先です。

(ウ)会社側(あるいは学校側)から、「合意であろうとなかろうと、立場をわきまえなかったことに対して反省し、謝罪しなさい!そうでないとしかるべき措置を取るぞ!」と加害者に迫るべし。

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